理事長あいさつ

理事長市川智彦 平成26年6月13日から並木幹夫前理事長の後任として日本アンドロロジー学会理事長を拝命しております千葉大学大学院医学研究院泌尿器科学の市川智彦でございます。平成28年6月に役員改選がありましたが、引き続き理事長を務めさせていただく事になりました。歴代の理事長の先生方が創設し発展させてこられた本学会を、さらに発展させ次の世代にバトンタッチできるよう、引き続き全力で任務にあたらせていただきます。
アンドロロジー学は臨床領域の男性学と基礎領域の雄性学が表裏一体となって発展してきたユニークな学術分野です。アンドロロジーが扱う領域は、その全てに臨床分野・基礎分野が対応し発展してきました。これらは、@男性不妊症:精子形成機構・受精機序・精子学、AED:勃起のメカニズム、BLOH症候群:アンドロゲンの作用機序、C性分化異常:発生学・性分化の分子機序、D前立腺癌・前立腺肥大症:前立腺の増殖機構などであり、学際的な連携が重要であることがうかがえます。
学会の沿革にあるように、本学会は1974年にアンドロロジー研究会として創設され、その後1982年に日本アンドロロジー学会に名称変更され現在に至っています。「アンドロロジー」という外来語をそのまま用いたのは、雄性学とすると基礎的研究領域に傾き、男性学とすると臨床領域の学術研究に重きがおかれてしまうことを危惧されたからだとのことです。臨床領域と基礎領域の臨床家・研究者の情報交換・討議の場として日本アンドロロジー学会が果たしてきた大きな役割を考えますと、その名称を採用された先輩の先生方のご慧眼に敬服する限りです。
日本アンドロロジー学会が歩む歴史とともに、急速な高齢化や食生活の欧米化に伴う前立腺癌・前立腺肥大症患者の急増、PDE5阻害薬の承認によるED診療の拡大、顕微授精や非閉塞性無精子症に対する顕微鏡下精巣内精子採取術などに代表される不妊症診療の進歩・変革、中高年男性のより高いQOLを目指したLOH症候群診療の開始など診療面や社会的環境に大きな変化がありました。このような医療の進歩に基礎研究で裏打ちをする作業において、日本アンドロロジー学会が果たしてきた役割は大変意味深いものであると思います。
少子高齢化社会の現在そして将来において、日本アンドロロジー学会が果たすべき役割は学術的にも、社会的にもますます大きくなっていくものと思います。多くの専門領域にまたがる本学会の特性を生かして、境界領域との連携を強化し、国際的連携も充実させ、本学会がさらに発展できるよう鋭意努力していく所存です。会員の先生方におかれましては、本学会の趣旨をご理解頂き、引き続きご指導ならびにご支援を頂戴いたしたく、よろしくお願い申し上げます。

平成28年6月
 日本アンドロロジー学会理事長 市川智彦